2008年 01月 14日 ( 1 )

美術史とその言説(ディスクール) ★★★

c0100768_21493830.jpg<著 者> 宮川 淳
<出 版> 水声社
<頁 数> 373ページ
<刊 行> 2002年11月
<他 著> 「紙片と眼差とのあいだに」
<他 著> 「引用の織物」

>美術史とその言説(ディスクール)
「引用」の概念を世に知らしめた事で著名な宮川淳による美術評論選集。寄稿された各種論文やフランス文学者阿部良雄との私的な往復書簡等を収録。ラカンやドゥルーズ、ロラン・バルトといった現代思想家たちの豊潤なテクストを強力な拠所にした氏独特の評論は洗練と個性を存分に感じられてとても興味深く読む事が出来た。決して平易な文章ではなく、理解に苦しむ所もたくさんあったがフランス語特有の華麗なセンテンスを巧みに援用した語り口がページをめくる気持ちを最後までキープしてくれた。

内容はポストモダンならぬポスト印象派なる視点から新印象派及び象徴派と呼ばれる美術作品を考察したものが中心。中でも点描で知られるスーラに大きなスポットライトが当てられている。著者はスーラの作品に詳細な考察を施し、彼こそが新印象派そのものだったとまで強力に賞賛しているのだがこの大前提に賛同出来なかったのが残念。往復書簡にて阿部氏も触れているがやはりこのスーラ論は美術史論としてのメインストリームにはなっていない模様。確かに「グランド・ジャッド島の休日」は美術史に残る傑作だと思うけどやっぱりスーラは「異能の画家」というポジション。その考えが変わってしまうまでの説得力は感じれなかった。

今年は美術館行きまくりたい!モロー見てえええええ!!!
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by nagayama555 | 2008-01-14 21:33 | 音楽/書籍批評